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家族心理学 依存症と家族の関係を理解する

この動画の概要

家族向け講座(全8回):4回目

依存の問題は誰のせいなのか、どこに原因があるのか、悩んでいるご家族の方はいるのかもしれません。
問題の原因として「遺伝的な要素」と「環境的な要素」が関係していきます。
今回は解説を踏まえながら家族心理学を学んでいきます。

動画チャプター

0:51 「村社会での子育てと今」
2:26 「依存問題の原因として」
4:03 「家族が出来るサポート」
4:56 「システミック・アプローチ」
7:36 「家族ホメオスタシス」
8:39 「介入するポイント」
10:34 「円環的因果律」
14:34 「悪循環を断ち切る」
15:51 「上手くいかないことはやめて上手くいくことは続ける」
17:10 「まとめ」

家族心理学とは?依存症と家族の関係を理解する

家族心理学とは、家族全体を一つのシステムとして捉え、その中で起こる問題や変化を理解しようとする学問です。
特に、依存症と家族の関係について深く掘り下げていきます。

家族心理学の基本

家族心理学では、家族全体を一つのシステムとして捉えます。
このシステムは、家族の一員が何か行動を起こすと、それが他の家族全体に影響を及ぼすという考え方を基盤にしています。
これを「システミックアプローチ」と呼びます。

図解:システミックアプローチ

※システミックアプローチとは、一人の人や一つのことを単独で見るのではなく、それが存在する全体の「システム」を見る考え方です。

例えば、サッカーチームで一人の選手がうまくプレイできないとき、その選手だけの問題として見るのではなく、チーム全体の問題として見るような感じです。

そして、問題を解決するためには、その選手だけでなくチーム全体が改善することが必要だと考えます。
つまり、全体を見て問題を解決しようとする考え方がシステミックアプローチです。

例えば、ある家族の中で息子さんが依存症の問題を抱えているとします。
その問題は息子さんだけの問題ではなく、家族全体の問題として捉えるべきです。
なぜなら、息子さんの行動や状態が家族全体に影響を及ぼし、家族全体のバランスを崩すからです。

依存症と家族の関係

依存症を抱えた人が家族の中にいると、家族全体のバランスが崩れることがあります。

例えば、息子さんが依存症であると、家族は息子さんが結婚したら、あるいは子供ができたら改心して依存対象をやめることを期待するかもしれません。

しかし、多くの場合、その期待は裏切られ、依存症は続くことが多いです。

ここで大切なのは、家族全体が依存症の問題に対してどのように対応するか、ということです。
家族心理学では、家族全体が問題に対してどのように対応するかを見ることで、問題の解決策を見つけることができます。

家族のバランスを整える

家族心理学では、家族全体のバランスを整えることが重要とされています。
例えば、学校に行かない子供がいる家族を考えてみましょう。
その家族では、母親が子供を世話している一方で、父親は子育てから距離を取っていることが多いです。

このような状況では、母親と子供の距離が近すぎ、父親との距離が遠すぎるというバランスの崩れが起こっています。

家族心理学の視点からすると、この問題を解決するためには、母親と父親の距離感を近づけ、母親と子供の距離感を適切なものにすることが必要です。

これにより、父親、母親、子供の間のバランスが整い、子供が自分自身の独立を考え始めるきっかけを作ることができます。

変換的因果律

家族心理学には「変換的因果律」という考え方があります。

これは、家族の中で問題が起きた時、その問題を一人の家族が単独で起こしているとは考えず、家族全員が何らかの形でその問題に関わっているという考え方です。

例えば、母親が長男を叱ると、長男は妹をいじめ、妹はおばあちゃんに訴え、おばあちゃんは父親に訴え、父親は母親に訴え、母親は再び長男を叱るというような循環が起こることがあります。

このような循環は、家族全体が関わっているという視点から見ると、一人一人がその循環を断ち切ることで問題を解決することができます。

問題の循環を断ち切る

問題の循環を断ち切るためには、自分がその循環の一部を担っている行為をやめることが大切です。

例えば、母親が長男を叱るのをやめる、あるいは逆に、母親が長男を褒めるようにすると、問題の循環が断ち切られ、家族全体のバランスが整う可能性があります。

まとめ

家族心理学は、家族全体を一つのシステムとして捉え、その中で起こる問題や変化を理解しようとする学問です。

家族全体が問題に対してどのように対応するかを見ることで、問題の解決策を見つけることができます。
家族全体のバランスを整え、問題の循環を断ち切ることで、より健康的な家族関係を築くことが可能になります。

家族心理学の視点から見ると、依存症やその他の問題は、一人の問題ではなく、家族全体の問題として捉えるべきです。

そして、その問題を解決するためには、家族全体が協力し、問題の循環を断ち切ることが必要です。

皆さんも、自分の家族の中で起こっている問題を見つけ、その問題の循環を断ち切るための行動を考えてみてください。
それが、家族全体の幸せにつながる第一歩となるでしょう。

以上が家族心理学と依存症と家族の関係についての説明です。

次回は、具体的なコミュニケーションスキルについてお話しします。
今日もご覧いただき、ありがとうございました。

第1回 依存との関わり ~家族側の関わり方~(前半) | 依存との関わり ~家族側の関わり方~(後半)
第2回 セルフケアについて 1(前半) | セルフケアについて 1(後半)
第3回 セルフケアについて 2(前半) | セルフケアについて 2(後半)
第4回 家族を知る
第5回 依存との関わり「コミュニケーションのタイミングを知る」
第6回 最適なコミュニケーション
第7回 コミュニケーションガイドライン(前半) | コミュニケーションガイドライン(後半)
第8回 ルールを決める

 

出演者プロフィール

片桐 敦(かたぎり あつし)
一般財団法人ワンネスグループ 心理カウンセラー

学習塾での講師経験を経て、心理カウンセラーに。心理カウンセラー歴は18年。
クライアント向けのカウンセリング、心理学講座、また一般の方向けにアディクションカウンセラー講座などを担当。
心理療法(臨床心理)だけでなく、他の心理学の分野、脳科学など様々な方面から依存症回復支援のための具体的な方法論を初心者から、すでにプロで活躍している方にまで分かりやすく解説する指導が定評。

 

相談についてのお問い合わせ

依存かもしれないとお困りの「ご本人」へ |ワンネス財団
依存でお困りのご家族の方へ |ワンネス財団
仕事のなかで「依存の問題を抱えている方」と関わられている皆さまへ |ワンネス財団

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