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依存の欲求を感じるトリガーを知る (後半)

この動画の概要

当事者向け講座(全5回):2回目

薬物、アルコール、ギャンブル、ゲーム、対人関係など、あらゆる依存症の方向けの動画シリーズです。
渇望感(欲求)」を感じるキッカケになるのはどういったものなのか?
今回は心理と脳の性質からトリガーになるものを考えていきます。

欲求への対処法 – トリガーを知る

今回は「欲求への対処法」について、特に「トリガー」に焦点を当ててお話しします。
トリガーとは、私たちが特定の欲求を感じるきっかけとなるもののことを指します。

自分自身のトリガーを見つけることで、欲求に対する対処がより効果的になります。
これは、自分自身の行動や感情をより深く理解し、自己制御を強化するための重要なステップです。

【動画チャプター】
0:22 五感と欲求がセットになっていることが多い
2:45 トリガーを五感に分けて考え、自覚する
3:00 トリガーになりやすい事柄と例
8:35 まず自覚⇨回避⇨対策してから処理

トリガーの種類

トリガーは様々な形で存在します。

まず、五感と欲求がセットになっていることが多いです。

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のいずれかが、欲求を引き起こすトリガーとなることがあります。
これらの感覚は私たちが日常生活を送る上で常に働いており、それぞれが特定の欲求を引き起こす可能性があります。

視覚:特定の物を見ると欲求が感じられることがあります。

例えば、美味しそうな食べ物の画像を見ると食欲が湧く、といった具体的な状況を思い浮かべてみてください。視覚は非常に強力なトリガーとなり得ます。
私たちは視覚情報を大量に処理しており、それが欲求を引き起こす可能性があります。

聴覚:特定の音楽や音を聞くと欲求が湧くこともあります。

例えば、パチンコの音楽を聞くとギャンブルの欲求が湧く、といった状況が考えられます。
音楽や音は、私たちの感情や記憶に深く関わっており、それが欲求を引き起こすトリガーとなることがあります。

嗅覚:特定の匂いを嗅ぐと欲求が湧くこともあります。

例えば、コーヒーの香りを嗅ぐとカフェインに対する欲求が湧く、といった具体的な状況が考えられます。
嗅覚は、記憶と深く結びついており、特定の匂いが強い欲求を引き起こすことがあります。

味覚や触覚については、例えばしょっぱいものを食べたらお酒を飲みたくなる、といった具体的な状況が考えられます。

これらの感覚もまた、私たちの欲求を引き起こす可能性があります。

また、気温の変化もトリガーとなることがあります。例えば、暑い時に冷たい飲み物を欲する、寒い時に暖かい飲み物を欲する、といった具体的な状況が考えられます。

これらの例からもわかるように、トリガーは日常生活の中に溶け込んで存在しています。

その他のトリガー

五感以外にも、さまざまな事柄がトリガーとなり得ます。
依存症の業界では、HALT(ハングリー、アングリー、ロンリー、タイアード)という概念がよく使われます。

これは、空腹感(ハングリー)、怒り(アングリー)、孤独感(ロンリー)、疲れ(タイアード)が依存行為に走るトリガーとなることを示しています。

ハングリー(空腹感):空腹時には、食べ物や飲み物に対する欲求が高まることがあります。
これは、体がエネルギーを必要としているときに特に顕著になります。

アングリー(怒り):怒りを感じた時に、その感情を何とかしたいと思い、依存行為に走ることがあります。
怒りは強烈な感情であり、それを抑えるために何かに頼りたくなることがあります。

ロンリー(孤独感):孤独を感じた時に、何かに頼りたくなる、依存行為に走りたくなることがあります。
人間は社会的な生き物であり、孤独感は強い不快感を引き起こします。

タイアード(疲れ):疲れを感じた時に、「一杯飲みたい」、「元気になりたい」と思い、依存行為に走ることがあります。
これは、体や心が休息を必要としているときに特に顕著になります。

また、特定の感情(懐かしさ、恐怖など)、ストレス、過信、病気、社会的隔離、人間関係、特定の場所などもトリガーとなり得ます。
例えば、過去を思い出した時や特定の場所にいると、依存していた頃の気分になり、「やりたい」と感じることがあります。

これらのトリガーは、私たちの心理的な状態や環境に深く関わっています。

トリガーへの対処法

トリガーを自覚し、それが危険性を持つ事柄であると認識することが第一歩です。
その上で、トリガーに触れないようにする、または適切に対処するための準備をすることが重要です。

例えば、これから病気になるかもしれない、恋人と別れるかもしれないという時に、「どうだっていい」と思って依存対象に走らないように、あらかじめ準備をしておくことが必要です。

あらかじめ準備したものがあって初めて、トリガーに触れた時に適切に対処することが可能になります。

これは、自分自身の行動を予測し、それに対する対策を立てることによって、自己制御を強化するための重要なステップです。

まとめ

トリガーを知ることは、欲求への対処法を理解し、自分自身の欲求をコントロールするための重要なステップです。
自分自身のトリガーを見つけ、それに対する対策を準備することで、欲求に対する対処がより効果的になります。

自覚、回避、処理、これらのステップを覚えておくことが大切です。

次回は、欲求が生まれた時にどう対処していくのかについて詳しく説明します。
今日も「トリガーを知る」についてのお話を聞いていただき、ありがとうございました。

そして、一人で抱え込んでいませんか?ワンネス財団の相談ダイヤルは、依存症の専門スタッフに直接相談できる無料電話窓口です。
ご家族やご本人、支援者の方からのご相談を承っています。
私たちに寄せられる相談は年間5000件以上。抱えている悩みに合わせたスタッフが対応します。
電話相談の他にもメール相談、LINE相談も受け付けております。お気軽にご相談ください。

それでは、次回もお楽しみに。

 

第1回目 「依存対象の代わり」を考える
第2回目 トリガーを知る(前半)|トリガーを知る(後半)
第3回目 欲求が生まれた時の対処(前半) | 欲求が生まれた時の対処(後半)
第4回目 再発の場面を学びにする
第5回目 万能な対処計画

 

出演者プロフィール

片桐 敦(かたぎり あつし)
一般財団法人ワンネスグループ 心理カウンセラー

学習塾での講師経験を経て、心理カウンセラーに。心理カウンセラー歴は18年。
クライアント向けのカウンセリング、心理学講座、また一般の方向けにアディクションカウンセラー講座などを担当。
心理療法(臨床心理)だけでなく、他の心理学の分野、脳科学など様々な方面から依存症回復支援のための具体的な方法論を初心者から、すでにプロで活躍している方にまで分かりやすく解説する指導が定評。

 

相談についてのお問い合わせ

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