再発の場面を学びにする
この動画の概要
当事者向け講座(全5回):4回目
依存と向き合う上で「再発」に関して誰もが一度は不安を感じたことがあるのではないでしょうか。
今回は、一見無関係だと思う事が、実は再発につながる可能性がある事を学び、起こりうる精神的な危機に対して正しく備えることについて解説していきます。
動画チャプター
1:27 「再発のケース:ジョーさん(薬物依存)」
3:53 「再発するキッカケを探る」
5:47 「再発の場面を学びにするには?」
6:23 「一見無関係と思う場面を吟味する」
7:42 「欲求が高まりやすいトリガーと照らし合わす」
10:12 「原因を振り返り決断した理由を探る」
10:44 「その原因の対処と準備をしておくこと」
11:33 「次回の説明とまとめ」
依存症の再発を学びに変える方法
こんにちは、皆さん。依存症という問題に直面している人々にとって、再発というのは非常に厄介な問題です。
再発は、回復の道のりを遮る大きな障害となります。
しかし、その障害を乗り越えるための一つの方法があります。
それは、再発の場面をただ悔やむだけでなく、学びに変えることです。
今日は、その具体的な方法についてお話ししたいと思います。
再発の場面を学びにする
再発は、依存症の回復過程において避けて通れない問題です。
しかし、再発したからといってただ落ち込んだり、諦めたりするだけではなく、その再発の場面を学びに変えることで、より発展的な回復への道を歩むことができます。
再発の場面を学びにするための一つの方法は、再発の直接的な原因だけでなく、その前の状況や決定を振り返ることです。
これを「一見無関係の決定」と呼びます。この考え方を理解するために、具体的な例を通じて説明します。
ジョンさんの再発のケース
アメリカのジョンさんという薬物依存症者の再発のケースを見てみましょう。
ジョンさんはある日、奥さんから「今日は帰りが遅くなるから」と言われ、その日は一人で過ごすことになりました。
仕事を終えて帰宅する途中、ジョンさんはいつもと違う景色のいいルートを選んで帰ることにしました。
その日は暑かったので、以前薬物を使っていたお店で休憩し、ビールを飲むことにしました。
そして、思いつきで薬物を少量使ってみたところ、偶然にもその店に再発している友人と出会い、結果的に薬物の使用パターンに再び戻ってしまいました。
再発の原因を遡る
このケースを見て、再発の直接的な原因は友人と会ったことだと思うかもしれません。
しかし、よく考えてみると、友人と会う前にジョンさんはすでに薬物を使っています。
さらに遡ってみると、ビールを飲んだ時点で薬物を使う可能性が高まっていました。
そして、さらに遡ってみると、暑さを感じた時点でビールを飲むという選択をしていました。
このように、再発の直接的な原因だけでなく、その前の状況や決定を振り返ることで、再発の「種」を見つけることができます。
そして、その「種」を見つけることで、再発の予防や対策が可能になります。
再発の「種」を見つける
ジョンさんのケースでは、奥さんが家にいないと知った時点で、再発の「種」が植えられていました。
奥さんがいないと知った時、ジョンさんは開放感や寂しさを感じたかもしれません。
その感情が、薬物を使うきっかけを作ったのです。
このように、再発の「種」は、直接的な原因よりも前の状況や決定に隠れていることが多いです。
その「種」を見つけるためには、再発の場面を振り返り、その前の状況や決定を詳しく検討することが必要です。
再発の予防と対策
再発の「種」を見つけたら、次にその「種」が再び植えられないようにするための予防と対策を考えます。
例えば、ジョンさんの場合、奥さんが家にいないと知った時に感じた開放感や寂しさをどう扱うか、どう対処するかを考えることが必要です。
再発の予防と対策は、自分自身の感情や思考を理解し、それに対する適切な対応を見つけることから始まります。
それは、誰かと話す、趣味に没頭する、リラクゼーションをするなど、人それぞれ異なる形を取るでしょう。
まとめ
依存症の再発は、その場面を学びに変えることで、より発展的な回復への道を歩むことができます。
再発の直接的な原因だけでなく、その前の状況や決定を振り返ることで、再発の「種」を見つけ、それを予防や対策することが可能になります。
再発は避けられないかもしれませんが、それを学びに変えることで、回復の道のりは必ず前に進みます。
第1回目 「依存対象の代わり」を考える
第2回目 トリガーを知る(前半)|トリガーを知る(後半)
第3回目 欲求が生まれた時の対処(前半) | 欲求が生まれた時の対処(後半)
第4回目 再発の場面を学びにする
第5回目 万能な対処計画
出演者プロフィール
片桐 敦(かたぎり あつし)
一般財団法人ワンネスグループ 心理カウンセラー
学習塾での講師経験を経て、心理カウンセラーに。心理カウンセラー歴は18年。
クライアント向けのカウンセリング、心理学講座、また一般の方向けにアディクションカウンセラー講座などを担当。
心理療法(臨床心理)だけでなく、他の心理学の分野、脳科学など様々な方面から依存症回復支援のための具体的な方法論を初心者から、すでにプロで活躍している方にまで分かりやすく解説する指導が定評。
相談についてのお問い合わせ
・依存かもしれないとお困りの「ご本人」へ |ワンネス財団
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