万能な対処計画
この動画の概要
当事者向け講座(全5回):5回目
最終回となる今回は欲求が出た時に対処できる計画をテーマに解説していきます。
一見、無関係だと思う事が、実は再発につながる可能性がある事を学んでいきます。
動画チャプター
0:47 「予想できない問題への対処」
2:32 「問題に対して用意しておくもの」
2:54 「困ったときに頼れる人のリスト」
4:51 「安心できる場所リスト」
5:45 「使用することへのマイナスの点を自覚する」
6:34 「気をまぎらわすものリスト」
7:17 「問題が起きた時の進め方【感情に敏感になる】」
8:37 「解決法を多く挙げる(ブレスト)」
10:23 「その中から選ぶ」
10:54 「うまくいったことは続け、うまくいかなければ別の案」
11:40 「まとめ」
万能な対処計画:依存症の欲求にどう対処するか
依存症という言葉を聞くと、多くの人はアルコールや薬物、ギャンブルなど特定の行動や物質への過度な依存を思い浮かべるでしょう。
しかし、依存症はそれだけではありません。
私たちの日常生活の中で、食事、運動、仕事、人間関係など、さまざまなものに過度に依存することがあります。
依存症は、その人の生活を破壊し、身体的、精神的健康を脅かします。
今回は、依存症の当事者が欲求に対処するための万能な対処計画について説明します。
予想できない問題への対処
依存症の回復過程では、予想できる問題だけでなく、予想できない問題も起こります。
これは、人生が予測不可能なものであるためです。
例えば、新しい職場に就職したり、昇進したりした場合、周りの人が祝いたい気持ちを共有したいときに、飲みに誘われることは予想できます。
しかし、人生の中で必ずしも予想できた問題だけではなく、様々な問題が差し掛かってくることもあります。
そのような予想外の問題に対処するための万能な対処計画について、以下に具体的な手順を説明します。
1. 困った時に頼れる人のリストを作る
まず、困った時に頼れる人のリストを作りましょう。
人間は追い詰められた時に思考が狭まってしまうことがあります。
そのため、落ち着いている時に、頼れる人のリストを作っておくことが有効です。
このリストには、信頼できる家族や友人、専門家など、あなたが困った時に助けてくれると思う人を書きましょう。
2. 安心できる場所を複数持つ
次に、欲求が高まってしまう状況の時に、危険が少なくて安全で安心できる場所を複数持つことが重要です。
これは、自分がパニックになった時や、欲求が高まってしまった時に、すぐに逃げ込むことができる場所を持っておくことを意味します。
これは、公園や図書館、信頼できる友人の家など、自分がリラックスできて安心感を感じる場所であることが重要です。
3. 使用することでのマイナスの点を自覚する
依存対象を使用することで生じるマイナスの点を自覚し、リストアップしておくことも大切です。
これは、欲求が高まった時に、依存対象が助けてくれたという経験だけが頭に浮かび、その先にあるマイナスの点を見落としてしまうことを防ぐためです。
例えば、アルコール依存症の場合、飲むことで一時的にストレスが軽減されるかもしれませんが、長期的には健康問題を引き起こしたり、人間関係を壊したりする可能性があります。
4. 気を紛らわすもののリストを作る
また、気を紛らわすもののリストを作っておくことも有効です。
これは、問題が起きた時に、すぐにその問題から逃げ出すことができるようにするためです。
このリストには、読書、映画鑑賞、散歩、瞑想など、自分がリラックスできる活動を書きましょう。
問題が起きた時の進め方
問題が起きた時には、以下の順番で進めていくことをおすすめします。
問題を自覚する:感情が問題の存在を敏感に察知することがあります。
嫌な予感がする、恐怖を感じる、悲しみを感じるなど、感情が先に反応することがあります。
そのため、感情に敏感になり、問題がどこにあるのかを探し、自覚することが大切です。
アイディアを出し合う:問題が自覚できたら、次にアイディアを出し合います。
誰か他の人の頭も借りて、解決法を思いつくだけ思いつきます。
その中から一つ選び、それがうまくいくか試します。
うまくいかなければ別のアイディアを試す:選んだアイディアがうまくいかなければ、別のアイディアを試します。
うまくいったら、それを続けます。
このように、問題が起きた時には、感情に敏感になり、問題を自覚し、アイディアを出し合い、試すという順番で進めていくことが大切です。
これは、問題解決の基本的なプロセスであり、これを身につけることで、どんな問題にも対処できるようになります。
まとめ
以上が、依存症の当事者が欲求に対処するための万能な対処計画です。
予想できない問題に対しても、この考え方の順番を身につけていれば、問題解決につながっていくと思います。
依存症に悩む方々が、この対処計画を参考にして、自身の問題に立ち向かい、前進していく力になれば幸いです。
また、ワンネス財団では、依存症の専門スタッフに直接相談できる無料電話窓口を提供しています。
ご家族やご本人、支援者の方からのご相談を承っています。
電話相談の他にもメール相談、LINE相談も受け付けております。一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。
以上、依存症の当事者が欲求に対処するための万能な対処計画についての記事でした。
依存症という難しい問題に立ち向かう皆さんが、この記事を通じて少しでも助けになれば幸いです。
第1回目 「依存対象の代わり」を考える
第2回目 トリガーを知る(前半)|トリガーを知る(後半)
第3回目 欲求が生まれた時の対処(前半) | 欲求が生まれた時の対処(後半)
第4回目 再発の場面を学びにする
第5回目 万能な対処計画
出演者プロフィール
片桐 敦(かたぎり あつし)
一般財団法人ワンネスグループ 心理カウンセラー
学習塾での講師経験を経て、心理カウンセラーに。心理カウンセラー歴は18年。
クライアント向けのカウンセリング、心理学講座、また一般の方向けにアディクションカウンセラー講座などを担当。
心理療法(臨床心理)だけでなく、他の心理学の分野、脳科学など様々な方面から依存症回復支援のための具体的な方法論を初心者から、すでにプロで活躍している方にまで分かりやすく解説する指導が定評。
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・依存かもしれないとお困りの「ご本人」へ |ワンネス財団
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