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依存への欲求を感じるトリガー (前半)

この動画の概要

当事者向け講座(全5回):2回目

薬物、アルコール、ギャンブル、ゲーム、対人関係など、あらゆる依存症の方向けの動画シリーズです。
「渇望感(欲求)」を感じるキッカケになるのはどういったものなのか?
今回は心理と脳の性質からトリガーになるものを考えていきます。

動画チャプター

1:35 人間はどういった行動で「学習」するのか
4:54 2パターンの違い:受け身と自主的な行動
5:18 これらを依存症に当てはめるとどうなるのか
7:48 まずは自分のトリガーを自覚することから始める
8:21 一旦、トリガーを回避する
8:40 処理できるという自信がついてから

欲求への対処 – トリガーを知る

今回この記事は、心理学の専門用語が出てきますが、それらを全て覚える必要はありません。
大切なのは、その背後にある概念を理解することです。
それでは、始めていきましょう。

1. 学習とは何か?

学習とは、経験を通じて行動や知識、スキルが変化する過程のことを指します。
これは人間だけでなく、動物も経験します。

学習には様々な形がありますが、今回はその中でも特に重要な「古典的条件付け」と「オペラント条件付け」について詳しく見ていきましょう。

1.1 古典的条件付け

古典的条件付けは、特定の刺激と反応が結びつくことで学習が行われるという考え方です。

この概念は、ロシアの生理学者イワン・パブロフによって提唱されました。
彼の有名な「パブロフの犬」の実験では、犬が食事の時間になるとベルの音を聞くという状況を作り出しました。

その結果、犬はベルの音を聞くだけで唾液を分泌するようになりました。
つまり、ベルの音(刺激)と食事(反応)が結びついたのです。

1.2 オペラント条件付け

一方、オペラント条件付けは、自分の行動が結果に影響を与えるということを学習する形式です。
この概念は、心理学者B.F.スキナーによって提唱されました。
彼の「スキナーボックス」の実験では、ネズミが特定のレバーを押すと餌が出るという状況を作り出しました。

その結果、ネズミはレバーを押すと餌が得られると学習し、その行動を繰り返すようになりました。

2. 依存症と学習の関連性

依存症と学習の関連性を理解することは、依存症の治療や対処法を理解する上で非常に重要です。
依存症の行動パターンは、学習の結果として形成されるため、学習のメカニズムを理解することで、依存症の根本的な原因を理解することができます。

2.1 オペラント条件付けと依存症

依存症の行動パターンは、オペラント条件付けの一例と言えます。
たとえば、薬物を使用したり、アルコールを飲んだりすると、それによって得られる「報酬」(興奮、リラックスなど)があります。
この報酬が強力な刺激となり、依存行為を繰り返す欲求が生まれます。

つまり、依存行為を行うことで得られる報酬が、その行動を繰り返す動機となるのです。

2.2 古典的条件付けと依存症

一方、古典的条件付けも依存症の形成に関与します。
依存行為を行っているときに一緒に何かが提示されていた場合、それもまた学習されます。

例えば、大麻を吸うときに石油ストーブの匂いがあったとします。
これを繰り返すことで、石油ストーブの匂いだけで大麻を吸いたいという欲求が湧くようになるかもしれません。

これは古典的条件付けの一例で、特定の刺激が欲求を引き起こす「トリガー」になることを示しています。

3. トリガーを知る

トリガーとは、欲求を引き起こすきっかけのことです。
依存症においては、これが欲求を高めるポイントとなります。
トリガーは人によって異なりますが、自分のトリガーが何であるかを自覚することが大切です。

それが何であるかを知ることで、それを避けたり、それに対処する方法を見つけることができます。

4. まとめ

依存症の欲求は、学習の結果として形成されます。
そのため、自分のトリガーを理解し、それに対処する方法を学ぶことが、依存症からの回復への一歩となります。

一人で抱え込まず、専門家に相談することも重要です。
ワンネス財団では、依存症の専門スタッフによる無料の相談窓口を提供しています。
電話だけでなく、メールやLINEでの相談も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

依存症は一人で戦うものではありません。
専門家の助けを借りながら、自分のトリガーを理解し、それに対処する方法を学んでいきましょう。
それが、依存症からの回復への道筋となります。

次回は、このトリガーに対処する具体的な方法についてお話しします。お楽しみに。

第1回目 「依存対象の代わり」を考える
第2回目 トリガーを知る(前半)|トリガーを知る(後半)
第3回目 欲求が生まれた時の対処(前半) | 欲求が生まれた時の対処(後半)
第4回目 再発の場面を学びにする
第5回目 万能な対処計画

 

出演者プロフィール

片桐 敦(かたぎり あつし)
一般財団法人ワンネスグループ 心理カウンセラー

学習塾での講師経験を経て、心理カウンセラーに。心理カウンセラー歴は18年。
クライアント向けのカウンセリング、心理学講座、また一般の方向けにアディクションカウンセラー講座などを担当。
心理療法(臨床心理)だけでなく、他の心理学の分野、脳科学など様々な方面から依存症回復支援のための具体的な方法論を初心者から、すでにプロで活躍している方にまで分かりやすく解説する指導が定評。

 

相談についてのお問い合わせ

依存かもしれないとお困りの「ご本人」へ |ワンネス財団
依存でお困りのご家族の方へ |ワンネス財団
仕事のなかで「依存の問題を抱えている方」と関わられている皆さまへ |ワンネス財団

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