依存症当事者のご家族に「まずは自分のケア」をお勧めする理由【Q&A 6】
この動画の概要
まずは自分のケアをお勧めする理由
本シリーズでは、依存に関する問題でよく寄せられるご相談にお答えしていきます。
今回のテーマは「まずは自分のケアをお勧めする理由」についてお話しします。
依存症当事者のご家族の方へお伺いします。
当事者である子どもや夫のために疲弊して、心身をすり切らしてしまっている、ということはありませんか。
不安や心が疲れている状態では、思考もどんどんネガティブになっていってしまいます。
何かに振り回されることなく、ご自身のケアを最優先で行うべき理由についてお話しします。
0:21 家族が奔走し、疲弊するケース
1:03 まずは自分のケアをお勧めする理由
1:44 気づかないままどんどん疲弊するケースも
2:12 振り回されているかどうかを確認する方法
自己ケアの重要性:依存症の家族がまず始めるべきこと
依存症という問題は、当事者だけでなくその家族も深く巻き込むものです。
家族は当事者を支え、理解し、時には対立しながらも共に闘う存在となります。
しかし、その過程で家族自身が疲弊してしまうことがあります。
そこで今回は、そんな家族がまず始めるべきこと、それは「自分自身のケア」についてお話しします。
・自分自身のケアとは、自分の心と体の健康を保つこと。
・自分自身の感情やストレスを管理すること。
・そして自分自身の幸せと満足感を追求することを指します。
家族の奔走
依存症の当事者を何とかしたい、救いたいという思いから、家族が奔走しているケースがよくあります。
家族として当然のことかもしれません。
しかし、その奔走が過度になると、家族自身が心身ともに疲弊してしまいます。
そんな時は一度立ち止まってみて、自分自身の状態を確認してみてください。
子供や夫のために、自分自身が疲弊して心身を擦り切らしてしまっているということはありませんか?
自分自身の心身の健康を維持することは、家族全体の健康と幸せに直結しています。
自分のケアを優先
もしそうなのであれば、一旦当事者のことは置いといて、自分のケアをすることをおすすめします。
自分自身が健康でなければ、他人を支えることは難しいのです。
そんなことをしている場合ではないという考えも分かりますが、それでも一旦当事者のことは置いて、自分のケアをしてください。
自分自身のケアをすることで、心身の健康を保ち、ストレスを管理し、自分自身の幸せを追求することができます。
自分が疲弊すると…
なぜならば、周囲の家族が疲弊していると、当事者の行動に振り回される傾向が強くなっていくからです。
当事者の言いなりになってしまい、要求に応えられないという風になってくると、当事者がヒステリックを起こすということが起きます。
これは家族にとっても当事者にとっても良い結果を生みません。
自分自身が健康であれば、当事者の行動に振り回されることなく、冷静に対応することができます。
健康な関わり方のために
依存状態のことをよく理解して、健全に関わっていくために、自分の健康に取り組んでいくことが必要となります。
依存症とは、一人の問題ではなく、関わる全ての人々の問題です。
その中で、自分自身が健康であることは、当事者との健全な関わり方を可能にします。
疲れきっていることを自覚している方はまだいい方で、それに気づかないまま、どんどん弱っていってしまうこともあります。
自分自身の心身の健康を維持することで、依存症の当事者と健全に関わることができます。
自分のケアから始める
だからこそ、今回お話ししたいテーマが「ご家族が気づかずに疲弊して、振り回され、さらに悪い結果を避けるために、ご家族ができることとして、まずは自分のケアから始めましょう」です。
自分自身の心と体の健康を最優先に考え、それから当事者との関わり方を考えることが大切です。
自分自身のケアをすることで、心身の健康を保ち、ストレスを管理し、自分自身の幸せを追求することができます。
自分が振り回されているか確認する
ご自身が今、振り回されているかどうかを確認するために、「他人の人生を生きているような感覚はないか」という考え方もできると思います。
当事者や他者中心の考え方でいませんか?
当事者や他者中心にならず、自分の状態は自分で整えていくように心がけましょう。
自分自身の感情やストレスを管理し、自分自身の幸せを追求することで、他人に振り回されることなく、自分自身の人生を生きることができます。
独立した人間として関わる
子供も母親のために生きているのではない、それぞれが独立した人間として関わっていけるようにしましょう。
自身の心も体も健康な状態で、当事者と健全な関わり方を持つということを意識していきましょう。
それぞれが独立した人間として、自分自身の人生を生き、自分自身の幸せを追求することで、健全な関係を築くことができます。
まとめ
今回は「家族はまず自分のケアから始める」というテーマでお話しさせていただきました。
自分自身のケアを優先することで、依存症の当事者との健全な関わり方が可能になります。
自分自身が疲弊してしまうと、それが逆に当事者を不安定にさせ、問題を深刻化させる可能性があります。
自分自身の心と体の健康を最優先に考え、それから当事者との関わり方を考えることが大切です。
おわりに
一人で抱え込んでいませんか?
ワンネス財団の相談ダイヤルは、依存症の専門スタッフに直接相談できる無料電話窓口です。
ご家族やご本人、支援者の方からのご相談を承っています。
私たちに寄せられる相談は年間5000件以上。抱えている悩みに合わせたスタッフが対応します。
電話相談の他にもメール相談、LINE相談も受け付けております。お気軽にご相談ください。
依存症という問題は、一人で解決するものではありません。
家族全員が一緒になって、問題に立ち向かうことが大切です。
その中で、自分自身のケアを忘れずに、健康な心と体を保つことが、最終的には家族全体の幸せにつながります。
今回の講義はここまでとなります。
ご視聴ありがとうございました。また別のシリーズでお会いしましょう。
【Q&Aシリーズ】
【1】どのように関わったらよいか
【2】当事者との関わり方ネーブリング(尻ぬぐい)
【3】共依存の仕組み
【4】家族間で足並みが揃っていないケース
【5】仕事を辞めずに治療に取り組む
【6】「まずは自分のケア」をお勧めする理由
【7】依存行為を辞めさせたい
【8】借金問題について
【9】暴言・暴力にどう対応していくか
【10】当事者の生きづらさを知る
出演者プロフィール
川端 理之(カワバタ マサユキ)
ワンネス財団 一般社団法人GARDEN奈良 ディレクター
18歳から薬物の乱用が始まり、大学卒業後には東証一部上場大手企業に就職。一度は薬物を断つが27歳の時に再発。
その後依存行為を繰り返し会社を退職するが、ワンネス財団入所施設で自分の生き方と向き合う。
現在は主に一般社団法人GARDENで入所者の支援、その他にも薬物乱用防止の講演会、メディアからの取材等の活動を行っている。
・リカバリーダイナミクスプログラム認定プロバイダー
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